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Medical information診療情報

疑義解釈資料の送付について(その37:不妊治療)


令和4年4月改定で保険適用となった「不妊治療」について、説明・同意等を始め新たな疑義解釈が、令和5年1月12日疑義解釈資料の送付について(その37)(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001036935.pdf)が通知されました。疑義解釈を含め今一度確認をしていただくにあたり、内容を抜粋し作成させていただきました。

なお、この内容は今後変更される場合もあるのでご了承ください。

一般不妊治療管理料・生殖補助医療管理料
患者及びパードナーへの説明・同意についての整理

一般不妊治療・生殖補助医療とは
初回の治療計画の説明
原則として、当該患者及びパートナーの同席の下で実施すること
同席が困難な場合には、その理由を診療録に記載するとともに、やむを得ない事情がある場合を除き同席ができなかった者に対しても以後の診療機会に説明を行い、同意を得ること
初回以降の治療計画の説明
6月に1回以上、治療内容等に係る同意についての確認を行うこと
同席が困難でビデオ通話を用いて説明を行う場合
  • ・身分証明書の提示等により確実に本人確認を行うこと
  • ・文書による同意を得ること。パートナーからの文書による同意の取得については、後日同意を得た文書をカルテに添付すること
なお、単にパートナーへの説明を行い、同意を取得することのみでは、当該パートナーに対する診療報酬は算定できない
生殖補助医療管理料において
下記について、一般不妊治療管理料と同様の取扱いとなる
  • ・治療計画の同意取得は、文書で行いカルテに添付し保存を行う
  • ・治療計画の文書交付料の徴収はできない
  • ・パートナーに対し特段の診療を行わず、治療計画の説明及び同意の取得のみを行う場合は、パートナーに対して生殖補助医療管理料を算定することはできないが、患者及びパートナーの両者に診療や必要な療養上の指導を行った場合は生殖補助医療管理料を算定できる
  • ・婚姻関係の確認
  • ・重婚でないこと
  • ・同一世帯であること、同一世帯でない場合はその理由を確認すること
  • ・出生した子について認知を行う意向があること

生殖補助医療管理料 年齢についての整理

女性の年齢は43歳未満(40歳未満は通算6回まで(1子ごとに)・43歳未満は通算3回まで(1子ごとに))と年齢が設けられていますが、42歳の時点で治療を開始し、治療中に43歳に達した場合に、43歳に達した日を含む1回の治療(胚移植を目的とした治療計画に基づく一連の治療)については、保険診療で実施可能

採卵術 複数回採卵を実施する場合についての整理

患者の身体的な負担にも配慮しつつ、必要な範囲内で実施すべき点に留意することとは
  • ・生殖補助医療管理料の算定条件に基づいて、少なくとも6月1回以上、当該患者及びパートナーに対して治療内容等に係る同意について、それまでに実施された治療の結果等も踏まえて、適切に確認すること
  • ・少なくとも6月に1回以上、必要に応じて治療計画の見直しを適切に行いこと
  • ・治療計画の見直しを行った場合は、当該患者及びパートナーに文書を用いて説明の上交付し、文書による同意を得るとともに、交付した文書の写し及び同意を得た文書をカルテに添付
  • ・治療計画の見直しが必要とされた場合、女性の年齢が43歳である場合のそれ以降の診療については保険診療の適用外となる

複数医療機関が連携して生殖補助医療を行う場合の整理

A病院にて治療計画の作成、Bクリニック(かかりつけ医)にて治療を行う場合、「排卵準備等のための外来診療(頻度の高い投薬等)」の中に初診料又は再診料、処置、検査又は投薬等に係る項目、在宅自己注射管理料が含まれることが明確になりました
ただし、Bクリニックでは生殖補助医療管理料の算定は不可
A病院は、Bクリニックにおける診療内容について、患者から都度聴取し、必要に応じてBクリニックに照会を行うこと

胚凍結保存管理料 胚凍結保存維持管理料の算定期間の整理

令和4年4月1日より前から凍結保存されている初期胚又は、胚盤胞について、凍結保存開始日に関わらず、胚凍結保存維持管理料を算定した日から3年を限度に算定

一般不妊治療管理料 新規届出の施設基準について

  • ・保険医療機関が当該管理料を新規届出を行う場合、届出前6月以内の実施件数が、要件とされる年間実施件数の半数である10例以上あれば届出可能
  • ・新規開業し診療実績がない場合は、様式5の11の診療実績を除く項目を記入の上、届出を行った場合に限り、当該様式を届け出た日の属する月から最大6か月の間は、当該管理料を算定可能とする
6月を超えて当該管理料を算定する場合は、改めて届出を行うこととし、上記の「保険医療機関が当該管理料を新規届出を行う場合」を参照のこと

様式5の11

凍結胚 保険外診療の取扱いの整理

保険診療により作成した凍結胚が残っている場合であっても、医学的判断により保険外の診療として、受精卵・胚に対する保険外の診療を実施する必要がある場合について
①保険診療により作成した凍結胚を用いずに、保険外の診療として改めて採卵から胚移植までの診療を行うことは可能

②①の場合、保険診療により作成した凍結胚について、胚凍結保存維持管理料(3500点)は算定できない(胚凍結保存管理料(導入時の算定要件となる胚凍結保存の開始から1年以内は、当該管理料による評価が行われているため)また、当該期間において患者及びそのパートナーに対し凍結保存及び必要な医学管理に関する費用負担は求めてならない

胚凍結保存の開始日から1年以上を経過した後、保険外の診療から保険診療へ再度移行する場合については、患者及びそのパートナーの次回の不妊治療に向けた意向を確認の上、保険診療で治療計画を作成して生殖補助医療の受診を開始し、再度、算定要件を満たすこととなった時点から算定可能 上記において、残余凍結胚に対しては保険外の診療が行われていないため、算定可能 ただし、この場合であっても回数制限に係る実施回数のカウントは、以前の保険診療における実施回数を含む

※算定イメージ

保険外の診療(先進医療等の保険外併用療養に該当しないもの)で不妊治療を行う際に、保険診療により作成した凍結胚は使用することは認められない(生殖補助医療管理料において作成する治療計画では、保険診療において生殖補助を実施することを前提に、採卵術から胚移植術までの診療過程を記載することになるため、あらかじめ、保険外の診療で使用することを念頭に置いた採卵等に係る治療計画を作成することは認められない)
ただし、上記以外の事例であって、治療の経過によってやむを得ず、年齢制限や回数制限を超えた時点で凍結胚が残っている場合は、当該凍結胚を廃棄せず、以降の保険外の診療に使用することは差し支えない。